漆芸舎平安堂の金継ぎ教室の様子をご紹介します。
こちらの器は生徒さんの私物で、数年前に割れてしまい、捨てられずにずっと置いてあったものだそうです。
まずは割れた破片をのりうるしで接着します。
のりうるしは、うるしの量や練る加減などで接着の強度が変わるので、ちょっとしたコツが必要になります。
のりうるしが乾いたら、ほつれた部分をさびうるしで埋めていきます。
さびうるしは土、水、樹液のみでつくる自然素材のパテになります。
さびうるしを乾燥させ、しっかりと硬化させたらサンドペーパーで研いでいきます。
この研ぎの作業が、金継ぎの仕上がりを左右する大切な工程になります。
とても地味ですが、この工程が金継ぎの要となります。
次はいよいよ黒うるしを塗る工程です。
完成まであと少し、生徒さんもこの工程まで進むと楽しくなってくるそうです。
黒うるしが乾いたら、金継ぎの醍醐味、金粉まきの工程です。
貴重な金粉、みなさん息を止めて、少しずつ金紛をまいていきます。
こちらが完成した器です。
およそ2カ月にわたって、修復をしていただきました。
金継ぎが完成したこの日、「この器はどのくらい前のものですか?」と尋ねると
「40年ほど前、結婚祝いにいただいたものなんです。」答えてくださいました。
40年間ご夫婦と一緒に歩んできた器が、こうしてよみがえりました。
金継ぎは器を修復するだけでなく、忘れていた記憶を思い出させてくれるきっかけになるのではないかと思います。